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ディマンドリスポンス(DR)とは? ネガワット取引との関係や期待されることを詳しく解説

2019.6.21

ディマンドリスポンス需要家電気使用量を抑制することで、全体の電力需給バランスを安定化させる仕組みのことです再生可能エネルギーの有効活用、電力供給の安定化、そして環境問題への貢献の観点から注目を集めています。

そんなディマンドリスポンスの種類や方法、ディマンドリスポンスと関係の深いネガワット取引等について解説します。

ディマンドリスポンス(DR)とは? 種類や方法を知ろう

ディマンドリスポンスとは、市場からの電力需要がピークに達したときに、電力を追加で供給するのではなく、需要側の電気使用量を制御することです。「Demand Response」「DR」「デマンドリスポンス」とも表記されます。

システム上、大規模発電所などで「電力を貯めておく」ということはできません。そのため、従来の追加供給によりピーク時の電力をまかなう方法では、年数回しかない需要のピークに対して、つねに対応可能な仕組みを整えておく必要がありました。そのため、必要以上の管理・運用コストがかかっていたのです。

ディマンドリスポンスが導入されたことで、電力会社と需要家が連携して電力使用量をコントロールできるようになり、電力の需要と供給のバランスが取りやすくなりました。

以前のように、大規模発電所に設備投資や運用費用の負担をかけずとも、ディマンドリスポンスで電力の消費量を調整することで、経済効率がよく、そして環境にもやさしい電力システムがつくれるようになったのです。

供給が追いつかず停電する……というような事態も起きにくくなり、電力システムの安定化につながることが期待されています。

3つのディマンドリスポンス(DR)

ディマンドリスポンスには、大きく分けて3つの種類があります。以下にて「上げDR」「上げ下げDR」「下げDR」のそれぞれについて、解説いたします。

上げDR

上げDRとは、ディマンドリスポンスによって電気の需要量を増やすことです。
小規模発電所(個人宅や企業のソーラーパネルなど)の余剰な発電量を需要家に消費してもらったり、または蓄電池への充電に充ててもらったりします。

上げ下げDR

上げ下げDRとは、ディマンドリスポンスによって電気の需要量を小刻みに増やしたり減らしたりすることです。送電線に流れる電気量を制御することで、電気の周波数を一定に保つことができます。

下げDR

下げDRとは、ディマンドリスポンスによって電気の需要量を減らすことです。
需要のピーク時に、需要家に電力使用を抑えてもらい、全体の需給バランスを整える目的があります。ディマンドリスポンスの中では、環境保全や震災等の災害後の電力確保の観点から、下げDRが注目されています。

下げDRとは

ディマンドリスポンスのやり方は?

では、実際にディマンドリスポンスが実施される場合、どのようにして行われるのでしょうか?
以下に「電気料金型ディマンドリスポンス」「インセンティブ型ディマンドリスポンス」の2つの方法を解説いたします。

電気料金型ディマンドリスポンス

電気料金型ディマンドリスポンスとは、電力消費のピークに合わせ電気料金を値上げすることで、電気需要を抑制する仕組みのことをいいます。

メリットは実施するのが比較的容易であり、大多数に適用可能であること。
一方デメリットは、値上げしても需要が抑制されるかは不確実であることです。

電気料金型ディマンドリスポンスとは

インセンティブ型ディマンドリスポンス

インセンティブ型ディマンドリスポンスとは、電気会社と需要家が契約を結んだうえで、電力会社の要望に応じて需要家が節電した際に、節電した分のインセンティブ(報奨金)を得るという仕組みのことをいいます。
メリットは正規サービス(契約)であるため、効果が確実なこと。一方デメリットは需要家への契約コストがかかることです。別称として「ネガワット取引」とも呼ばれます。

インセンティブ型ディマンドリスポンス

インセンティブ型ディマンドリスポンス(ネガワット取引)の仕組み

ディマンドリスポンスには2種類あることを先ほど説明しましたが、一般的には「インセンティブ型ディマンドリスポンス(ネガワット取引)」のことを「ディマンドリスポンス」と言っています。

ここではネガワット取引の仕組みを「アグリゲーター」「電力会社」「需要家」の三者をもとに解説していきます。

まず、アグリゲーターとは、需要家に節電を呼び掛けたり、需要家が節電することで得られる電力(=ネガワット)を集めたりする事業者のことです。電力会社とは別の事業者が担う場合もありますし、電力会社が兼務する場合もあります。

ネガワット取引の仕組み

ネガワット取引では、電力会社への電力需要がピークに達すると、電力会社からアグリゲーターへ電力需要の調整指令が伝えられます。すると、アグリゲーターは事前に契約を結んでいた需要家に節電するように指令を行います。(図の①②)

指令を受けた需要家は節電を行い、節電分のエネルギーを、アグリゲーターを通じて電力会社に送電します。(図の③④)

そうして、電力会社は電力需要がピークに達した時でも、需給バランスを崩すことなく安定的な供給を行えるのです。これらの一連の指令・節電が完了すると、電力会社から需要家に報酬が分配されます。(図の⑤⑥)

ネガワット取引への参加に活用しやすい設備は?

経済産業省の「ディマンドリスポンス(ネガワット取引)ハンドブック」によると、需要家がネガワット取引に活用しやすい機器や設備として、以下があげられています。

1. 空調・使用電力が数十kW以上のもの・高負荷で常用運転しているもの
2. 照明・活動・業務に影響を与えない共用部のもの
・調光率の調整がしやすいLED照明など
3. 生産設備・一定程度の生産能力があり、500kW程度以上の需要制御が可能なもの
・常用運転している生産ラインなど
4. 自家発電・発電量500kW以上など一定の規模があるもの
・常時は停止または低出力運転をしており、余力をDRに活用可能なもの
5. 蓄電池・10kW以上など一定の規模があるもの
・非常用電源用途などで導入しており、常用運転していないもの
6. 蓄熱槽・100kW程度以上の蓄熱空調システムなど

インセンティブ型ディマンドリスポンス(ネガワット取引)の事例を紹介

では、実際にインセンティブ型ディマンドリスポンス(ネガワット取引)が実施された事例にはどのようなものがあるのでしょうか?
ここでは「京セラ株式会社」「ダイキン工業株式会社」「株式会社日立製作所」の実施事例をご紹介します。

京セラ:完全自動ディマンドリスポンス技術を導入

京セラ株式会社は、総合エネルギー管理システム「POM SYSTEM」を利用することで、完全自動なディマンドリスポンス技術を導入。店舗・工場の電力使用を最適に制御し、管理しています。

ダイキン工業:空調の快適性を保ったまま運転制御

ダイキン工業株式会社は、需要家のビルに設置されている業務用エアコンの空調について、快適性を保ったうえで電力カットするデマンド制御を実施しています。需要家への負担は少なく、消費電力を抑制することができます。

日立製作所:分散エネルギー源の有効活用

株式会社日立製作所は、取引する需要家側の分散エネルギー源を有効活用することで、供給側のグリッド運用コストの抑制とともに、事業者だけでなく需要家側の電力費用削減も実現しています。

ディマンドリスポンスが太陽光発電に与える影響は?

ディマンドリスポンスは、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーに好影響を与える仕組みとして注目を集めています。

再生可能エネルギーの固定価格買取制度がスタートしてから、太陽光発電等を事業所や家庭に取り入れる需要家が増えてきました。しかし、再生可能エネルギーは、発電量が天候などに影響されるという特性をもっています。

従来までは、発電量が需要量より大きかった場合、余剰分を売電するか、蓄電池を購入して電気を貯めておくことになります。しかし、蓄電池には容量の限界がありますし、余剰分も消費されなければ無駄になってしまい、環境によくありません。

そこで、上げDRによって余剰分をアグリゲーター経由で別の需要者に電力消費してもらったり、別の需要家の蓄電池へ充電してもらったりすることで、効率の良い電力消費が可能となりました。

ディマンドリスポンスの需要と供給の関係

このように、上げDRをうまく活用することで、再生可能エネルギーの発電量を無駄なく有効活用することができているのです。再生可能エネルギーの弱点を克服することで、各事業所や家庭への導入拡大につながることが期待されます。

「脱炭素」が叫ばれて久しい昨今ですが、ディマンドリスポンスが浸透すれば、ひいては環境問題の解決の一助になるといえるのです。


日本では、東日本大震災を契機に、電力エネルギーの在り方を抜本的に見直す動きが加速していきました。ディマンドリスポンスは再生可能エネルギーの普及を促し、電力を無駄なく有効活用することに貢献する仕組みです。

安定的に電力が供給される社会を維持するため、ディマンドリスポンスのより一層の広がりに注目したいところです。

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